キルギスには「肉が好きな人々はキルギス人になり、魚が好きな人々は日本人になった」という言い伝えがあるとか。それ以外にも色々あるようでした。
よく「日ユ同祖論」では、キルギスが古代イスラエル~日本列島までの経由地になってるとは言われてましたが。恐らくキルギスにあった烏孫がその大元であり、烏孫には日本神話の原型があったんじゃないかと思うわけですが。
今回はキルギスと日本の神話比較から、真相に迫ってみようかと。
創造神ジャラトカンと国常立神
Genesis creation narrative - Wikipedia
ジャラトカンはキルギスで最も重要な神さまだったとか。
キルギス族の神話において,宇宙とその中の万物を創造し,作成した者は「ジャラトカン」と言い,かれは人間以前に宇宙を創造し,その後に天,地,コイカプの万物を創造した。その時,世界,自然と人類に必要なものに合わせて,ジャラトカンは土地,水,森林,動物,生きとし生ける物を創造した。それらのすべてに日々の糧,御馳走を分け与え,さまざまな食物をつくったと説明されている。
「ジャラトカン」(創造神・造物主)は天(蒼天)を六層に創造し,それにその神々,福と恩恵をそなえた。天には日,月と星がつくられた。天上のすべての星は地上の人びとの生命であると考えられていた。「ジャラトカン」は大地を七層につくり,地上には命,動物や人類がそなえつけられた。大地の自然の一部はすべてそれ自身が守護者,神であると考えられた。
日本神話でいうと、国生み神産みをしたイザナギに対応するような感じがします。旧約聖書の天地創造と日本の天地開闢は似てると思ってましたが。キルギスの創造神話も似た印象がありますね。
大地を七層に作ったところが、神世七代に対応するような気もしますが。
そしてジャラトカンという名前だけ見ると、日本の創造神である国常立神(くにとこたちのかみ)のような感じもあります。
国
常ジャウ ジャラ
立タチ ト
神カン カン
ジャラトカンという神は、国常立神とイザナギを併せたような存在だったのだろーか。
テングルと高天原とお天道さま
テングルは天や自然の神格化であり、ジャラトカンの後に崇拝されるようになったとか。
キルギス族の神話では,ジャラトカンより後には,テングルを崇拝することがたいへん有力であった。テングルは人類だけはなく,宇宙の日や月,それに「森,火,動物」のテングルであると見なされていた。キルギス族の神話的な説明では,「テングル」すなわち天は蒼天であると言われ,テングルに何かを求めるとき,テングルにものを頼むとき,蒼天を見ながら話した。テングル(蒼天)から,日々の糧,福運,幸福が運命を与えられた。
テングルが人間の語る言葉や希望を聞いていると考えられていた。誤ったことや悪いことを行うと,テングルは罰したり,凶暴になると恐れられ,清潔なテングルの支持によって神は行うと考えられている。「テングルよ,助けたまえ,テングルよ,罵ろ,テングルよ,踏みつけろ,従わせろ,テングルよ,仕事を行え」という貴重な言葉が語られている。
日のテングル、水のテングル、火のテングルなどが記録されてるが、人々は蒼天(青空)を見てテングルに祈ったとか。テングルは天の神格化というのは、日本でいうと高天ヶ原の天津神のことを言うんですかね。
テングルは人を常に見ていて、良いことをすれば幸福をさずけ、悪いことをすると罰を与えるという。
これは何か、日本の「お天道様」によく似通ってるのは気になりますね。お天道様とは高天原の天津神、天地の神々のことであり、「お天道様が見ているよ」「悪いことしたらお天道様のバチがあたるよ」という天神信仰は、テングル信仰そのまんまみたいであるし。
日本の天道思想は中世からだとも言うのですが。こうして比較すると、お天道様信仰は古代から地方にあり、テングルが元になっているとも考えられそうな感じがしますね。
母神ウマイは天照大神
ウマイはキルギスの男女の性別を司る女神で、母子の守護神だった。
母親の腹の中で子どもが母神ウマイに向かって「娘となろう,息子となろう」と泣いていた。その時,母神ウマイはその性質によって調整し「娘になろう」と泣いていた者を息子にし,「息子になろう」と泣いていた者を娘にし…
幼児の顔を「母神ウマイが洗ってくださる」と言って太陽の光を浴びせる。
ウマイは生まれる赤子と対峙して、男を女に、女を男にする神だとか。男女の逆転をするという不思議な感じがしますが。
これはもしかすると、日本の最高神である女神、天照大神との共通点があるようです。天照大神は素戔嗚尊と対峙するにあたり、男装してました。天照にはむかしから女神ではなく、男神だったとの伝承もあるとかで。ようするに男女融合、男女入れ替わりの神であったわけです。
邪馬台国の女王卑弥呼が天照大神の化身を自称したのなら、生き様を真似たでしょう。卑弥呼が男装をして崇神天皇になったのだろう、というのは個人的な発想ですが。
「うまい」は食べ物の味。キルギスのそばのパミールは漢字で書くと「拍米」で「はくうまい」食べ物。天照のアマは「あまい」。
あるいはウマイは美味しい食べ物で女神だから、豊受大神。伊勢神宮では天照と豊受の両方を祀っているし。
日キ同祖論をもとにすれば、伊勢神宮は古代烏孫のウマイ信仰を踏襲している聖地なのかもしれないです。
泥土人は青人草
キルギスでは人間は地母神と呼ばれる泥土から生じたものと、伝えられているとか。
キルギスの神話では「地母神」についての説明として,それが「泥土」だという考えが見られる。その神話的な説明によれば,人間は泥土から生じ,泥土に入って,泥土から日々の糧を得て暮らしていたと考えられていた。それに,キルギス人は「地母神」(泥土)だと知っていた。
人間が泥土から生まれたというのは、聖書やギリシャ神話にありますね。
新約聖書「神は最初の人間を土から造った」
ギリシャ神話「プロメテウスは粘土から人間を造った」
キルギス人はギリシャ、イスラエル、トルコだとか、地中海地方にルーツがあると言われてるのです。
一方日本では、イザナギが黄泉の国で「青人草」と呼んでいるものが人間だとか言われています。青人草とは地面から生えている草のことで、古代には草と人間は同じようなものだと考えられていたようですね。相当卑下してる感じですが…。
草は土から生えるわけなので、聖書やギリシャ神話にある「土から人を造った」のと似たような発想が垣間見える気がしました。
そう言えば青人草というと、引っこ抜くとヤバいというマンドレイク(マンドラゴラ)みたいですが・・・。日本人って、マンドレイクだったのか。😳
コイカプ
コイカプはあらゆるネガティブが集まる場所で、地底にあったと言いますが。
「ジャラトカン」は大地の周囲に置くようにたくさんの大きな山脈をつくり,その側に「コイカプ」と名づけられたところをつくったときに,コイカプに妖怪,マムミト,魔術師,鬼婆,アルプ・カルカシ,プラタナスなどのようなものがそなえられた。コイカプのものたちが地上に顔を出すと,人類にいつも恐怖が生まれ,「コイカプの入り口」のところで遮っている嵐や疾病が現れ,地上に「自然からの力」と名づけられたコイカプの恐ろしい力をもたらしたと考えられている
キルギス族は,世界を三つに,すなわち天(蒼天),大地,コイカプというものに分けて,そこに場所と住民を出現させたのである。
コイカプは、日本でいえば黄泉の世界であるようです。天、地、コイカプという世界の構造は、日本で言う所の天上界(高天原)、地上界(葦原の中つ国)、地底(黄泉や根の国)という構造に対応しており、そっくり同じでした。
コイカプには各種の魔物がいて、魔物が生まれる。これは黄泉には黄泉大神や闇の雷神がいて、黄泉醜女という魔物が生まれ出る状況と同じです。
コイカプの入り口から嵐や疾病が現れたというのは、イザナギが黄泉から帰還した後に禊ぎ祓いをして、嵐の神である素戔嗚尊が生まれ、八十禍津日神、大禍津日という災厄の神が生まれた所によく対応しているような感じがしますね。
おおかみ伝説を比較する
キルギスの先祖は、アセナという雌のオオカミだったとかいう話があります。
アセナ(Asena、アセナ)はテュルク神話に登場する雌狼、および、雌狼の生んだ10人の息子のうちの一人の名前。オオカミはテュルクの神話で重要な役割を果たし、現在もトルコではトルコ民族を象徴する存在とされている。
テュルクの祖先は大きな戦いに敗れ、少年一人だけが生き残った。アセナという名の、空のように青いたてがみをしたメスのオオカミが傷ついた彼を助け傷をいやした。やがてオオカミと少年の間に10人の子供たちが生まれた。オオカミと人間の血をひく、アセナに率いられたこの子供たちがやがてアシナ氏族(阿史那氏)を築き、突厥帝国(Göktürk)の中核となったという。この神話はウイグル人の民話など、他のテュルク系民族の神話とも共通する。
またアセナはエルゲネコン伝説とも結びついている。[要出典]テュルクの祖先がモンゴル人との戦いに敗れ、[要出典]一握りの生き残りがアルタイ山中の奥深くにある細道を抜け、豊かな谷間・エルゲネコン(Ergenekon)にたどりつき、そこで数世代にわたり暮らして勢力を回復した。やがてエルゲネコンから外の世界へ出ようとした子孫らは出口の細道が分からずに行き先を見失うが、そこに現れたメスオオカミの導きで[要出典]エルゲネコンから出ることができ、モンゴル人を打ち負かしたという
日本神話ではオオカミを先祖としているような伝承は無いです。しかし太陽の女神である天照大神は「おおかみ」なので、アセナなどテュルク系の神話の面影か、影響を残している可能性があります。
狼はオホカミで、oho-kami。狼は英語でwolfですが。
oho-kami(オホ) 上古日本語
wulf(ウルフ) 古英語
ウルフ→ウフ→オホ、と考えると近い発音な気がしますね。ということで関係ありそうだなと。
また日本武尊が山で迷った時、白い狼が道案内をして窮地を脱出したとの伝説があったりもしますし。キルギスの伝承に似通っているではないですか。
この道案内の白い狼が大口真神やお犬様と同じ神でした。日本は古代から狼信仰は盛んな土地だったようで、狼とは魔除けや五穀豊穣や火伏せのご利益がある動物だと考えられていたようです。
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この他にも神武天皇一家と似てるキルギスの王様一家の話もあるのですが。それについては関連記事を見てください。
ぽちされたすかり
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