日本神話のひとつの物語は、明確にひとつの出来事を描いているのではなかった。
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○いつも助かっております
インフレーション理論
おそらく私見としては神武天皇も、複数の人物の習合であると見ています。
それはあたかも神武天皇の父である鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)の中に、51人が集合されているという「上記(うえつふみ)の記録のように
日本神話の物語自体も、複数の物語が習合されている場合があると思われます。もっとも始まりの物語から、すでに習合は見られます。
一般的には、地上に神様の住まう高天原と、青人草(人)の住む日本列島をつくった物語が、古事記・日本書紀の天地開闢~国生みの物語の部分と言われます。
しかし記紀神話に、もし宇宙誕生の物語が提示されているとすれば、まさかという話になりますけど。
まず宇宙誕生モデルとして知られる、インフレーション宇宙論のモデル
無から始まった宇宙は、一挙にインフレーション(膨張)し、高温状態から徐々に温度を下げ、宇宙の物質が寄り集まって、太陽を含む無数の恒星や惑星をつくり、それらからなる銀河をつくった。
また、宇宙はひとつだけでなく、無数に存在するという仮説が、日本人学者に提唱された。
簡単に言うと、
「未知の母宇宙があって、そこから子宇宙(人間のいる宇宙)が飛び出した」のだとか。
この「インフレーション宇宙論」のモデルが、じつは、8世紀編纂の古事記と日本書紀では既に提唱されてたとしたら?
「神代正語常磐草(かみよのまさごとときわぐさ)」という江戸後期の書物がありまして、この書物は細田冨延(1783-1828)が古事記の名場面を、全て絵図でわかりやすく解説しているもので、「古事記と日本の神々」(吉田邦博・著、学研) にも幾つか挿入されてる。
この本にこんな絵がある。
この団子3兄弟みたいな絵は、神代の世界観を表したもので、一般認識としては、
上から高天原(神界)、葦原中国(人間界)、黄泉(闇の世界)。
日本に限定した世界観と言われてます。
でもこの古事記の世界観は、複数のできごとを一つにまとめいているのだから、この絵図には、宇宙創生の秘密が封印してあると見られます。その証拠は「日本書紀」からも読み取れます。
「日本書紀」の冒頭にこうある。
古(いにしえ)に天地(あめつち)未(いま)だわかれず、陰陽(めを)わかれざりしとき、渾沌(まろか)れたること鶏子(とりのこ)の如くして、溟涬(ほのか)にして牙(きざし)を含(ふふ)めり。
渾沌とした中から、鶏卵のようなきざしが見えてきたと。これはまさに宇宙の誕生を表しているように見える。
「古事記」で、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)が登場するときの絵がこれ。
これは母宇宙(高天原三神)の場所から、子宇宙(宇摩志阿斯訶備比古遅神)が飛び出し、インフレーションする様子を描いていると捉えることができる。
そして
この絵は、上から、
母宇宙(天之御中主ら高天原三神の宇宙)
子宇宙(宇摩志阿斯訶備比古遅神で表された、人間が認識してる宇宙)
孫宇宙(人間が認識する宇宙から、さらに子宇宙が飛び出しているのかもしれない)
というふうな解釈が可能ということです。
こうしてみると、インフレーション宇宙論と古事記宇宙論が、見事に合致してるようでないですか。だからインフレーション宇宙論が正解なのではないかと思いますけど。
さらにもう一枚を見ると、別の疑問が浮かんで来ますた。
これは、高天原のイザナギ・イザナミが、天の浮橋に立って淤能碁呂島を造った場面。
こうしてみると、高天原の神々は、母宇宙から子宇宙(我々の宇宙)へやってきて、地球をつくったような印象を受けてしまうわけですけど。
まぁ、こう言うとゼカリア・シッチンのシュメール神話の解釈で、「シュメールの神様(アヌンナキ)が地球を造り、文明の惑星ニビルの住人が地球へ降臨した」というふうな、日本神話でいうところの天地開闢から天孫降臨までに至る神話に、よく似たようなものを思い出しますが。
ま神様が天からやってくる、とかいうと、宇宙人なのか、という話になるわけですが。
こうして静かに集中して記事を書いてたら、家の前で男子中学生が「キャー」と奇声を発して去っていったので、憂鬱な世界は続きそう。
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